Takashi Mikuriya Laboratory | RCAST,The University of Tokyo 御厨貴研究室 | 東京大学 先端科学技術研究センター

 

菅原琢ゼミ「総選挙の研究」(2008年度 冬学期)

本ゼミでは、衆議院議員選挙(総選挙)を題材として、現象を調べ、表現するということを学ぶ。

 選挙では、A党がX議席取ったというような全国的な結果に注目が集まる。しかし現代の日本の選挙制度、特に総選挙においては、選挙という政治プロセスは個々の選挙区におけるミクロのプロセスの積み重ねであると理解する必要がある。比例区において民主党の得票率が自民党を大きく上回っていても、小選挙区の議席数で自民党に大きく負けるのは、選挙区には全国的趨勢に加えて候補者間の競争という独自の要素が加わるためである。たとえば、現職大臣、世襲候補などは有利であり、落下傘候補などは不利である。また、2005年総選挙で自民党は圧勝したが、「郵政造反組」のうち農村部の候補者は、小泉旋風の追い風を受けたはずの「刺客」候補に勝利している。これは選挙区レベルにおける政党の非力さを示す例である。
 本ゼミでは、直近の総選挙の個々の選挙区のプロセスを新聞等により調査し、総選挙の実態をミクロの構造から理解する。そのうえで、収集した情報を分析し、文章に整理する。これにより、情報の適切な利用の仕方、論理的な文章表現など、社会で活躍するにあたり必要な能力が鍛えられるはずである。
 また、本ゼミでの一連の作業の成果は、有権者の判断材料としてネット上で公開する予定である。
 なお、解散総選挙の有無により、ゼミの進め方が変わる可能性がある。

授業計画

本ゼミでは、自ら新聞等を調べ、候補者の決定から結果までのプロセスを記述することが中心となる。詳細は以下のとおりである。

・文献講読
 予備知識としてマクロの選挙の様相を知るために、最初の数回は文献講読を行う。このため、本ゼミを履修するにあたり選挙に関する特別な知識は不要である。

・選挙区調査
 その選挙区がどのような場所か、社会経済的背景、地理的構造などを調べる。特に高速道路など公共事業の状況や、選挙区独自の要素を見つけることが重要である。

・立候補過程の調査
 各候補者が、どのような経歴を持ち、どのような経緯で立候補したのかを、主に新聞報道をもとに調査する。特に、新人の候補者がなぜ公認を取れたのか、たとえば世襲だから票が取れそう、地元出身の官僚で人脈などがありそう、ほかに誰もいないので仕方なく…、といった背景を探る。

・選挙結果の調査
 新聞等の出口調査や、市区町村の単位での票の変動などを分析し、当該選挙結果の特徴を調べる。なおこれに向けて、表計算ソフト(Excel)の使用法、グラフの作成方法などを教える予定である。

・小選挙区史(仮称)の執筆
 以上の調査結果をわかりやすくコンパクトに整理し、分析的に記述する。

 参加者は、以上の調査・執筆を地域ごとに分担して行う。

 なお、本ゼミは2003年の東大法学部の演習「2003年総選挙の研究」(通称:蒲島谷口ゼミ)の後継ゼミである。上記執筆作業に関しては、先代ゼミの原稿に2005年分(解散があれば2008(9)年分も)を加筆し、全体を修正するという形を取る。
 また、本計画と関連し、あるいは無関係に、政治家等のゲストを招待して話を聞くなどのイベントを盛り込む予定である。

※ 先端研のセミナー室は駒場の秘境にあるので、授業は16時30分を目処に集合、16時40分開始とする。延長の可能性もあるので、夜はあけておくのが望ましい。地図は「関連ホームページ」を参照。
 これまでの菅原ゼミの詳しい内容、活動状況については、菅原ゼミのサイト(http://sugawarazemi.bufsiz.jp/)に掲載しているので、そちらを参照されたい。
 今学期もこれまで同様、活発で楽しいゼミとなることを期待する。

授業の方法

 文献講読では、割り当てられた文献につき、一人または複数の担当者が要約的に報告し、これを元に議論を行う。報告では、必ず詳細なハンドアウトを用意する。報告担当者以外も必ず課題文献を読み、授業に参加する。議論は、まず少人数のグループ単位で行い、意見等を整理した上で、全体での議論に臨むという手続きで行う。
 調査については、ゼミ内や班内でやり方、ペース配分などを決める。各回のゼミでは班内で進捗の報告、検討を行い、それから要所についてのみ全体で報告するというボトムアップ型の運営を考えている。

 

菅原琢ゼミ「現代日本の政党政治」(2008年度 夏学期)

 本ゼミは、日本の政党政治について社会科学的な観点から学び、理解することを目的とする。
 1980年代末から日本の政党政治は定位することなく、絶えず動揺し続けている。この動揺は、一般に政治の主役として認知される政党、政治家のみによって引き起こされているのではない。政策形成の一翼を担う官僚、政治に圧力を加える各種利益団体、政治を可視化する役割を担うとともに時としてプレイヤーでもあるマスメディア、そして一票を投じ、政治の行く末を決める有権者もまた、政党政治の動揺に加担しているのである。本ゼミでは、政党や選挙に関するさまざまな文献を読み、議論することで、さまざまな要素が複雑に絡み合い成り立っている現代日本の政党政治について、理解を深める。また同時に、社会科学の研究手法についても学び、最終的には何らかの作品を残し、社会に貢献することを目標とする。

授業計画

  マスメディアは政治についてときとして誤ったことを伝えることがある。たとえば「麻生人気」もそうである。2007年自民党総裁選では秋葉原などの演説会場で「国民的人気」を見せつけ、「多数の支持者」が党本部前に集結しデモを行ったと報道される一方、党員投票の結果は「不人気」と報道された福田と互角、小泉が集めた票に遠く及ばないばかりか、各種世論調査でも実はあまりパッとしていなかった。マスメディアに限らず、政治に対する無理解、思い込みの類は数多い。これを打破するためには、政治を科学的な考察の対象として扱うことが肝要である。たとえば、何らかの理由により党本部前に集まった推定300人の「麻生コール」と、計画的なランダム・サンプリングによって得られた世論調査結果と、どちらのほうが「人気」を判断するのに適切だろうか。そういった思考の技術を本ゼミを通じて養う。

 本ゼミにおける文献講読では、現代日本の政党政治に関する知識を得るとともに、その意味や背景について議論を行い、日本政治のあり方について理解を深めることを目的とする。その際、各回テーマを決めて文献を指定するが、それぞれのテーマは独立したものではなく、テーマ相互の関連性を念頭に置き日本の政党政治の構造を立体的に把握するよう努める。具体的には、文献をもとにした議題を設定し、少人数によるグループ・ディスカッションを行い、さらにそれを全体で検討するという手順を踏む。なお各回のテーマ、講義の詳細については、4月9日のガイダンスにて説明し、一部は菅原研究室のサイトでも公開する。なお解散総選挙の状況によっては、学期途中でテーマや授業スタイルを変更することもありうる。

 また本ゼミでは、社会科学の研究プロセスに触れることを目的のひとつとしている。これまでのゼミでは、MS Excelによるデータ収集、整理、分析の技術を学び、また回帰分析等の統計的手法についても理解を深めた。そしてこれらの技術を用い、2007年夏学期はゼミ生各人が論文を書いてネット上で公表し、2007年冬学期では政治家に関するデータを収集し、やはりネット上で公開している。今学期何を行うかは、ガイダンスにて説明する。

 なお本ゼミは、2007年夏学期開講「選挙の科学」、2007年冬学期開講「現代日本の政治家像2007」の後継ゼミである。これまでのゼミの詳しい内容、活動状況については、菅原ゼミのサイトに掲載しているので、そちらを参照されたい。なお、先端研のセミナー室は駒場の秘境にあるので、授業は 16時30分を目処に集合、16時40分開始とする。毎回活発に議論が行われるため、授業時間は平均2時間を超える。常に延長となるので、夜はあけておくこと。今学期もこれまで同様、活発で楽しいゼミとなることを期待する。

授業の方法

 文献講読では、割り当てられた文献につき、一人または複数の担当者が要約的に報告し、これを元に議論を行う。報告では、必ず詳細なハンドアウトを用意する。報告担当者以外も必ず課題文献を読み、授業に参加する。議論は、まず少人数のグループ単位で行い、意見等を整理した上で、全体での議論に臨むという手続きで行う予定である。

関連ウェブサイト

東京大学先端科学技術研究センター 菅原研究室

 

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